CSR・環境

資源循環型社会に貢献する環境技術

資源循環型社会に貢献する環境技術

  • ※ 自己評価 ★★★:目標を上回る成果があった ★★:目標を達成 ★:一定の成果があった
2017年度の目標 2017年度の実績 自己評価
再生プラスチック材料(複合素材回収PP※1)の
実用化技術開発
再生プラスチック材料(複合素材回収PP)の特性改善処方、および繰り返しリサイクル処方を確立・実用化。
冷蔵庫の運搬取っ手に採用
★★
2018年度の重点取り組み目標 再生プラスチック材料(複合素材回収PP)の高付加価値化(難燃化)技術開発
  • ※1 主たる素材の他、金属・異樹脂などの付属が多い部品から回収したポリプロピレン(PP)

プラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術を拡大

シャープは、使用済み家電製品から回収したプラスチックを新しい家電製品の部材として何度も繰り返し再生利用する「自己循環型マテリアルリサイクル技術」を関西リサイクルシステムズ(株)※2と共同で開発し、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行された2001年度より実用化しています。

金属や種類の異なるプラスチックが混在する混合プラスチックからポリプロピレン(PP)を高純度に取り出す「①:高純度分離回収」技術、回収したPP・HIPS※3・PC+ABS※4などの素材を新品材料と同等の特性に改善する「②:特性改善処方」技術を通じて再生利用可能なプラスチック量の増大に取り組んでいます。また、独自の「③:特性付与処方」技術を用いて難燃性や耐候性、抗菌性などをもつ高付加価値材料を開発し、用途拡大にも取り組んでいます。さらに、最適な品質を確保するための「④:品質管理」技術など、回収から品質管理まで一貫した技術開発を手掛けることで高品位な再生プラスチックを生成するリサイクルを実現しています。

家電4品目から回収したプラスチックの再資源化

  • ※2 シャープ(株)と三菱マテリアル(株)など6社が共同で出資している家電リサイクル会社
  • ※3 耐衝撃性ポリスチレン。GPPS(汎用ポリスチレン)にゴム成分を加えて耐衝撃性を付与した樹脂。
  • ※4 ポリカーボネートとアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンのアロイ材(複数のポリマーを混合することで、新しい特性を持たせた樹脂)
  • ※5 複数の樹脂を均一、細かく分散させること
  • ※6 複数の樹脂を混合することで新しい特性を持たせた樹脂のこと

新たな再生プラスチックの開発

2017年度は、使用済み家電製品から回収したPPを主体とする複合素材から、有用なPPを高純度で分離・回収し、新しい家電製品の部材として再生利用するリサイクル技術を開発しました。

これまで、PPを主体とする複合素材は、複数種のプラスチックや金属が混在しているために再生利用が難しく、燃料や雑貨、日用品などに利用されていました。新しい技術では、PPを主体とする複合素材を細かく破砕し、破砕物に混在する素材ごとの物理的な性質(比重、形状など)の違いを利用した選別技術を組み合わせることによって、有用なPPを高純度で分離・回収し、当社独自の特性改善処方技術により新材同等の特性(物性、耐久性)を備えたプラスチック材料に再生することが可能となります。さらに、異物管理技術により、外装部品への採用が一部可能となり、再生プラスチック材料の適用範囲を拡大しました。この再生プラスチック材料は、家電リサイクル法の対象品目である日本国内向けの冷蔵庫に採用しています。

今後は、再生プラスチック材料の高付加価値化(難燃性、耐候性付与など)を目指し、本技術を核とした新技術の開発に取り組んでいきます。

複合素材回収PP再生プラスチックの採用事例

再生プラスチックの使用量の推移と採用事例

再生プラスチックの使用量

再生プラスチックの使用量を拡大するため、プラスチックの種類や当社製品への採用の拡大に取り組んでいます。

2017年度には、自己循環型マテリアルリサイクル技術により開発した再生プラスチックの使用量が累計16千tに達しています(2001~2017年度実績)。

再生プラスチック使用量の推移(累計)

再生プラスチックの採用事例

第44回(平成29年度)「岩谷直治記念賞」を受賞

シャープの「劣化誘導期※1法を用いた家電系廃ポリプロピレンリサイクル材料の余寿命評価技術」が、公益財団法人岩谷直治記念財団が主催する第44回(平成29年度)「岩谷直治記念賞」を受賞しました。

上段左より、共同研究者の IoT HE事業本部 国内CS統轄部(リサイクル技術)技師 荒井 辰哉、係長 戸田 明秀、課長 福嶋 容子(代表研究者)、
技師 上田 拡充、関西リサイクルシステムズ(株)社長 丹波 秀行(シャープから出向)

2018年3月7日に日本工業倶楽部会館(東京都千代田区)で表彰式が開催され、賞状と賞牌が授与されました。

「岩谷直治記念賞」は、エネルギーおよび環境の分野で優れた技術を開発し、かつ産業上の貢献が認められる業績を表彰することにより、科学技術の一層の発展を図り国民生活の向上に寄与することを目的とした表彰制度です。

「劣化誘導期法を用いた家電系廃ポリプロピレンリサイクル材料の余寿命評価技術」は、家電リサイクル工場から回収した使用済みプラスチックの劣化度の診断と寿命改善を短時間で評価するものです。この技術開発により、これまでリサイクル材料の調製に数か月間を要していたものが30分程度で可能となり、リサイクル材料の量産と品質の安定化を実現しました。

本受賞は、日本で必要とされていた廃棄プラスチックの資源循環の道を切り開くことにつながる技術であることが評価されました。

「岩谷直治記念賞」の賞牌

  • ※1 添加剤が有効に作用し消費されている期間

劣化誘導期法を用いた余寿命評価技術とは

シャープは、使用済みプラスチックの完全な再生利用を目指してプラスチックの自己循環型マテリアルリサイクル技術開発に取り組む中、酸化などによる経年劣化を防ぐためプラスチックに加えられている「添加剤」に注目しました。添加剤には、自ら酸化することでプラスチックの酸化を抑制する働きがあります。また、添加剤はプラスチックの劣化に先んじて減少するため(下図)、残存する添加剤の量によってプラスチックの余寿命が決まります。つまり添加剤がどれだけ減っているかを調べ、不足分を加えることによって、家電製品の部材として再生利用することが可能となります。

しかしながら、従来の方法では測定・評価に約2か月もの期間が必要とされ、実用化が困難な状況でした。

そこでシャープは、長年にわたり独自に蓄積したデータとノウハウをもとに研究開発を重ね、わずか30分程度で正確に測定・評価する技術の開発に成功しました。

これによって、使用済みプラスチックを繰り返し再生利用することが可能となりました。

プラスチックの経時劣化特性

再生プラスチックの測定・評価

  試験方法 温度 評価時間
新評価法

試験サンプル:ペレット

添加剤消費量と劣化誘導期の相関から余寿命を算出

210℃

樹脂が熱分解しない温度まで加熱可

20~30分

従来法

試験サンプル:試験片

高温での加速試験を行い、任意時間後の物性を測定

140~150℃

試験片が変形しない温度

約2か月

加速試験:10年相当 ≒ 1,200時間(50日)

物性測定:1日