桑原(デザイン担当):開発の大命題は省エネでしたので、最初に省エネの視覚化に取り組みました。空気をたくさん取り込んで吹き出すことが省エネつながるというイメージが持てるように、空気の取り込み(イン)と吹き出し(アウト)を強調することを意識しデザインしています。
これまで複写機やヘルシオ、洗濯機などのデザインを手がけてきた桑原さん
どうしてロングパネルが浮いたようなデザインにしたのですか?
桑原:当社のエアコンの特長である気流と独自のロングパネルを伝えたいと思いました。またパネルが浮いていることで、掃除しやすい印象をもっていただけたらという思いもあります。
その他、デザイン面でこだわったことはありますか?
桑原:外観だけでなく、省エネや掃除のしやすさなどを実現するために、内部の部品一つひとつの造りにもこれまで以上にこだわりました。
え? デザイナーって見た目の形をデザインしているんじゃないんですか!?
桑原:そう思われることが多いです(笑)でも、日頃お客さまの目に触れないところや使い勝手なども考えて製品の隅々までデザインとして関わらせてもらっています。例えばロングパネルでいうと、従来機種では裏面が凸凹していて、けっして掃除がしやすいとは言えなかったので、技術部に改善を求めました。
南條:ロングパネルは1枚のパネルで、空気を1か所から効率よく吹き出せることが特長ですが、その反面、冷房時には裏面に結露が発生するんです。そのため結露防止用の断熱材をパネルの裏に貼っているんですが、そのままでは表面が凸凹で・・・。
岸本:表面の凸凹をなくすには、上からプラスチックを溶着する方法がありますが、そのような経験がなかったため苦労しました。でもこうしたデザイン面での指摘があったからこそ、掃除のしやすさと見た目を兼ね備えたパネルができたと思っています。
当社従来機
<E-SXシリーズ>
<F-Xシリーズ>
それでは、最後に皆さんの将来の夢や今後やりたいこと、挑戦したいことを教えてください♪
南篠:長期にわたって快適で気持ちよく使っていただける商品を作りたいと思います。そして買い替えの際には、また"シャープのエアコンが欲しい"と言ってもらえればうれしいですね。これまで人に風をあてない気流にこだわってきましたが、究極的には風を全く出さずに空調ができたらいいなと思います。
桑原:"涼しい風が来てくれたらいいな"と思っていると、さりげなく風を送ってくれる、そんな人の心に寄り添うエアコンを作りたいと思います。このエアコンに任せておけば空調コントロールはやってくれる「エアー コンシェルジェ」といった存在になってほしいですね。
岸本:センシングの技術を進歩させて、部屋の中の温度や湿度とともに、部屋の中にいる人の状態(感性や感覚)を感知してコントロールしてくれるエアコンを作りたいです。 フル自動エアコンという方向性があってもいいと思うし、そのような商品開発にぜひ関わりたいと思います。
川村:24時間エアコンをつけていても電気代を気にしなくてもよいような、超省エネエアコンがあればいいなと思います。そのためにも、今までとは違った方式(技術)で、空気を冷やしたり温めたり出来るシステムを実現してみたいと思います。
ありがとうございました。
インタビューの中で、部品や機能などさまざまな要素をすり合わる大変さが伝わってきました。また、試行錯誤を繰り返すことで技術やノウハウが積み重なっていくように感じました。4人が開発に携わったプラズマクラスターエアコン<F-Xシリーズ>について、詳しくは商品サイトをご覧ください。
掲載内容は平成28年1月1日時点の情報によるものです。