CSR・環境

事業ビジョン/中期経営計画

8KとAIoTで世界を変える

事業ビジョン「8KとAIoTで世界を変える」

シャープが目指す未来

それは、身の回りの機器が人に寄り添い、新しいパートナーとして、生活をより豊かにしてくれる社会。そして、8Kでさまざまなイノベーションを巻き起こし、人々の暮らしを変えていくことです。

5つの基本戦略

当社は、こうした未来の実現に向け、事業、戦う市場、オペレーションの3つのトランスフォーメーション、 具体的には「ビジネスモデルの変革」「グローバルでの事業拡大」「経営基盤の強化」を図るとともに、 「独自技術」や「人材」の徹底強化にも取り組んでいます。この5つの基本戦略を通じて「人に寄り添うIoT」「8Kエコシステム」を実現する企業へのトランスフォーメーションを図り、事業拡大を実現してまいります。

事業推進体制

“ One SHARP ”

当社は「スマートホーム」「スマートビジネスソリューション」「アドバンスディスプレイシステム」「IoTエレクトロデバイス」の4つの事業ドメインを設定しています。さらに、これらに横串を通す「AIoT戦略推進室」「8Kエコシステム戦略推進室」を設置し、“One SHARP”で、事業ビジョンの実現に取り組んでいます。

8Kエコシステム

8K、つまりフルハイビジョンの16倍の超高精細映像は、これまでにない二つの新しい体験を実現します。

一つは「圧倒的なリアリティ」です。まるで実物がそこにあるかのような映像を映し出し、驚異的な臨場感や立体感をもたらします。もう一つは「新たな発見」です。今まで映らなかった細かなものまで鮮明に映し出すことができ、これまでになかったさまざまな用途に応用することができます。

シャープは、こうした8Kの超高精細映像技術を核に、次々と新産業の芽を創出し、社会イノベーションを巻き起こす8Kエコシステムの構築を目指します。具体的には、映像の作成、加工から、配信、表示までの一連のバリューチェーンを、さまざまなパートナーと共に構築し、放送分野のみならず、医療やセキュリティ、検査システム、インフラ保守など、さまざまな分野で大きなイノベーションを実現してまいります。

すでにさまざまなところで8Kが活用されています。

8Kの超高精細映像は、多くの分野で活用が期待されています。

総務省を筆頭にNHKや自治体、美術館、企業などによって、すでにいろいろな実証実験が行われています。医療の分野では、内視鏡を使った検査や手術、遠隔医療診断などがすでに実施されています。美術館や博物館でも8Kディスプレイを使った展示実績がいくつもあります。

また超高精細な映像は、防災の分野でも活躍しています。NHKが2016年熊本地震直後に行った8Kでの空撮映像は、専門家の分析で未発見の地震断層や亀裂を見つけることができた、といった事例もあります。

このように放送だけでなく、いろいろな分野での8Kの応用が始まっており、シャープの8K製品がさまざまなシーンで使われています。

8Kチューナー

8K映像モニター

業務用8Kカムコーダー

事 例

70型8K映像モニターを医療分野に展開~8K硬性内視鏡システムへ活用

シャープは、世界初となる「8Kエコシステム」の医療分野への展開として、カイロス株式会社(社長:上野 直樹、本社:東京都千代田区、以下「カイロス社」)が開発した8K硬性内視鏡※1システム向けに、70型8K映像モニターの納入を開始しました。

シャープが納入する70型8K映像モニターは、カイロス社が開発し、2017年11月頃より医療現場への設置が開始された8K硬性内視鏡システムの表示装置として活用されています。同社の世界最小・最軽量の8K硬性内視鏡カメラと、フルハイビジョンの16倍の解像度を持つシャープの8K液晶パネルを採用した本モニターを組み合わせることにより、インプットからアウトプットまで8Kの医療環境が実現します。

視力4.27※2に相当する超高解像度の映像により、顕微鏡手術や小切開手術への応用が期待されるとともに、細胞レベルの観察により術中病理診断も可能となります。

医療分野に留まらずさらに様々な分野へ8K技術を展開することにより「8Kエコシステム」の早期構築に向けて、取り組んでまいります。

  • ※1 硬性内視鏡:筒の両端にレンズを装着する内視鏡。膀胱鏡、胸腔鏡、腹腔鏡などがある。
  • ※2 ハイビジョンを視力1.07相当とした場合。

8K硬性内視鏡のイメージと構成図

人に寄り添うIoT

AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)に対応した機器、すなわち、AIoT機器が、人や環境の変化に気付き、考え、インターネットを通じてさまざまなサービスと連携し、最適な提案をしてくれる新しいパートナーになること、シャープはこれを「人に寄り添うIoT」と呼びます。

そして、これを、スマートホームやスマートオフィス、スマートファクトリー、スマートシティなど、さまざまなシーンに広げ、人が主役になるスマートな社会の実現を目指してまいります。

AIoTとは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」を組み合わせ、シャープが作った言葉です。

日々の生活の身近な存在である、家の中のさまざまな家電やIT機器。シャープは、それらをクラウドにつなぎ人工知能化することで、人に寄り添う、やさしい存在へと進化させてゆきます。

AIでお客さまの行動や好みを学習、それぞれに適したサービスや使い方を提案し、機器が「知性(Intelligence)」によりお客さまひとりひとりに最適化。そして、おもてなしのココロと感情豊かな音声対話を通じ「愛着(Emotion)」が生まれる関係を構築します。

会話のできるモバイル型ロボット電話の「ロボホン」や、ボタンを押すだけでプロの味をご家庭で楽しめるヘルシオ、ホットクック向け料理キットサービスの「ヘルシオデリ」、愛猫の体調変化がわかる「ペットケアモニター」への展開など、シャープのAIoTはどんどん拡がっています。

ロボホン

ウォーターオーブンヘルシオ

ヘルシオホットクック

ペットケアモニター
(使用時のイメージ)

事 例

子ども向けの英会話教室において、「RoBoHoN(ロボホン)」を活用した授業の実証実験を実施

東京都内の「アルク Kiddy CAT英語教室」で、小学校低学年のクラスを対象に、2018年5月から8月までの3か月間実施しました。株式会社アルクの小学生向け英語教材「STEP」をインストールしたロボホンを教室に設置。ロボホンの音声認識・発話機能を活かし、ロールプレイ形式で英会話を学びました。

正確な発音で話しかけるとロボホンが英語で応答するほか、ロボホンからも英語で質問してくるので、発音やリスニングの練習に役立ちます。ロボホンが身ぶり手ぶりを交えてロールプレイの相手をしてくれるので、楽しみながら学習でき、自発的に学ぶ意欲の向上が期待できます。

アルクと当社は本実証実験を通じて、英語の習得度や自発的な発話量の変化などを検証。今後、ロボホンを活用する教室数を拡大し、本格導入を目指します。

将来的には、教室内での利用にとどまらず、生徒一人ひとりの学習状況に応じて、効果的な予習・復習のサポートが行える自宅学習プログラムの導入も検討する予定です。

当社はコミュニケーションロボットの教育分野での新たな価値創造に取り組んでまいります。

実証実験の様子

シャープが目指す未来 -2017~2019年度 中期経営計画-

2017年度の成果

ビジネスモデルの変革

従来のハードを中心としたビジネスモデルから、ハードに加え、サービスやプラットフォーム、さらにはエコシステム全体を通じて、お客さまに新たな価値を提供する企業への変革を進めています。

具体的には、スマートホーム事業では、AIoT機器を拡充するだけでなく「COCORO MUSIC」「COCORO GAME」「COCORO PET」「ヘルシオデリ」など、新たなAIoTサービスを立ち上げるとともに、こうした取り組みを通じて構築したAIoTプラットフォームを他社に提供し、新たなビジネスの創出を進めています。

また、8Kエコシステムでは「AQUOS 8K」や「業務用8Kカムコーダー」など、8Kエコシステムを構築する上で核となる製品開発、技術開発を加速するとともに、放送分野はもとより、医療、セキュリティ、工業、教育、美術など、幅広い分野において、各パートナーとともに、8K技術を活用したソリューションの展開を進めています。

さらに、こうしたビジネスモデルの変革を加速する上で重要となる、優秀人材を獲得するとともに、技術を融合し新たなビジネスを創出することを狙いに、2018年10月に、東芝クライアントソリューション社の子会社化を完了しました。

グローバルでの事業拡大

2017年度は、中国やASEANを中心とした海外での事業拡大が進展し、海外売上高比率は70%を超える水準にまで伸長しました。特に、テレビ事業では、中国、ASEANにおける販売拡大や、欧州市場への再参入などにより、海外での販売台数が前年度の2倍以上に伸長し、シャープブランドとして、全世界で販売台数1,000万台を達成することができました。また、白物家電や複合機、サイネージ、太陽光発電などにおいても、海外での販売が堅調に推移しています。

一方、デバイス事業においては、スマートフォン向けカメラモジュールが大幅に伸長するとともに、センサモジュールや半導体などの独自デバイスも販売を拡大、さらにはタブレットや車載用などの中型パネルについても順調に推移しています。

今後も、商品事業においては、海外市場を中心に、カテゴリー・ラインアップの拡大、顧客・販路の拡大を、デバイス事業においては、革新デバイスの創出をてこにした顧客開拓を進めてまいります。こうした取り組みを通じて、グローバルに事業を拡大し、近い将来、海外売上高比率80%の達成を目指してまいります。

経営基盤の強化

「ビジネスプロセスを抜本的に見直す」「コスト意識を大幅に高める」「信賞必罰の人事を徹底する」の三つの方針に沿って、抜本的な構造改革を推進し、支出の抑制を徹底するとともに、高効率なオペレーション体制の構築を進めてまいりました。2018年度以降も、さらなる構造改革を実行し、いかなる環境変化にも動じない、より筋肉質な経営基盤の構築を進めてまいります。

構造改革方針 主な取り組み
①ビジネスプロセスを抜本的に見直す
  • ビジネスユニットへの再編
  • 子会社の再編
  • ITシステムの再構築
  • 鴻海グループのリソース活用
②コスト意識を大幅に高める
  • 決裁権限の見直しによる支出内容の精査・抑制
  • 工場/拠点の最適化
  • 集中購買の推進
  • 当社に不利な契約の見直し
  • 海外駐在・出向、日本国内・海外出張の効率化
③信賞必罰の人事を徹底する
  • 役割に応じた処遇(年功序列の廃止)
  • メリハリのある報酬制度
  • 公正な人事評価
  • 専門性の追求
  • 人員の適正化