ミリ波^※1モジュールを利用した
地上デジタル放送伝送システムを試作

　シャープは、ミリ波モジュールを利用した地上デジタル放送伝送システムの試作機を開発しました。本システムで使用する60GHz帯のミリ波は、例えば無線LANで用いられている5GHz帯に比べ帯域が約125倍広いため、ハイビジョン放送などの大容量データを、無線通信することが可能です。 

　2011年7月の国内地上アナログ放送停波に向け、既築の住宅では、アナログ放送からデジタル放送受信に切替えが進んでいます。その中で特に古いマンションなどの集合住宅では、地上デジタル放送に対応する為のケーブルの新設など、大規模な改修が必要となる場合があり、課題となっています。

　今回、試作したミリ波モジュールを利用したシステムは、建物内の複雑な配線工事を必要とせず、低コストで各階の住居へ無線で地上デジタル放送を伝送することが可能となります。

　当社は、総務省からの委託研究案件（2005年12月から2009年3月まで）として、「ミリ波小型低コストモジュールの研究開発」に取り組んでまいりました。今後は、現在実施している最終的な実証実験の成果を生かしながら、早期の商品化に向けて取り組み、地上デジタル放送の普及に貢献してまいります。

■ミリ波モジュールの主な特長

1.  ミリ波帯(60GHz)を利用した小型無線伝送モジュールの開発により、簡便な取り付け工事で地上デジタル放送伝送システムの設置が可能。

2.  ミリ波帯の広帯域伝送路特性により、地上デジタル放送に加え、BS/CS110度放送にも対応。

3.  特定小電力規格に準拠し、無線免許が不要。

※1  波長がミリ単位（1mmから10mm）、周波数帯域が30GHzから300GHzの電波。広い帯域を使用する事が可能で、短距離通信であれば1Gbps超の超高速の無線通信を行うことが可能。ミリ波の規格は、2001年にARIB-T69で制定。

※2  総務大臣を本部長とし、2011年7月の地上放送の完全デジタル化に向けた最終段階にあって、高齢者を含め、すべての国民に対する丁寧な啓発・相談、地域レベルのデジタル化への取組支援などすべての関係者が一体となった国民運動を展開することにより、国民の視点に立った地上放送のデジタル化を加速推進することを目的としている。半年毎の開催が予定されている。