シャープが2000年に開発したプラズマクラスターイオン技術は、空気中にプラスとマイナスのイオンを放出し浮遊有害物質を除去する空中浄化方式です。これまで世界の学術機関と共同で、空中に浮遊する細菌・カビ・ウイルス・アレルゲン※3など全26種類の有害物質をプラズマクラスターイオンが抑制することを実証してきました。また、2004年には細菌の、2005年にはウイルスの抑制メカニズム※4をそれぞれ解明してきました。
今回、アレルギー研究で世界的に権威のある広島大学大学院 先端物質科学研究科と共同で、「プラズマクラスターイオン」が、ダニアレルゲン※5のタンパク質を分解することによってアレルギー性を抑制するメカニズムを新たに解明しました。
ダニアレルゲンなど吸入性アレルゲン※6は、その主成分がタンパク質であることが知られています。今回の研究結果によって、広範囲の吸入性アレルゲンへの効果が期待できることがわかりました。
ダニアレルゲン抑制メカニズム解明により、これまで実証したあらゆる有害物質(菌、ウイルス、アレルゲン)抑制のメカニズムを解明したことになります。当社は、空気浄化技術のリーディングメーカーとして、この成果をもとにさらなるプラズマクラスターイオン技術の革新に努めてまいります。
当社は2000年にプラズマクラスターイオンの開発に成功して以来、アカデミックマーケティング※7の考えに基づき、空中に浮遊するさまざまな菌、ウイルス、アレルゲンについて、権威ある先端的な第三者機関と共同でその抑制効能を科学的に実証してきました。 しかしながらこれらの浮遊有害物質は幾多の種類が存在し、そのすべてに対するプラズマクラスターイオンの効能を個別に調べることは困難です。従って、その根本にある抑制メカニズムが解明できれば、より広範囲の有害物質への効果が期待できることになります。今回、ダニアレルゲンの抑制メカニズム解明に成功したことにより、これまで実証したあらゆる有害物質の抑制メカニズムがわかったことになります。
またアレルゲンはダニ、花粉、カビ、ペットの皮脂の屑などが存在し、健康を阻害するハウスダストの主要原因と言われています。今回のメカニズム解明により、これら広範囲のタンパク質起因のアレルゲンについて、プラズマクラスターイオンの効果が期待できることがわかりました。
アレルギー患者には、のどや鼻の粘膜上皮や組織中に存在する肥満細胞※8の表面にIgE抗体※9が付着しています。ダニの死骸や糞などに含まれるアレルゲンタンパク質がIgE抗体と結合すると、ヒスタミンなどの刺激物質が細胞外に放出され、のど、鼻の粘膜を刺激し、せき、くしゃみ、鼻水などのアレルギー反応を引き起こします。
今回、プラズマクラスターイオンがダニアレルゲンのタンパク質にどのように作用しているのかを調べるため、電気泳動法※10を用いて、タンパク質の質量分析を行いました(図2参照)。その結果、アレルギー起因のタンパク質がイオン処理により消失することを確認しました。
このことは、プラズマクラスターイオンが、単にタンパク質の構造のみを変化させる変性※11ではなく、アレルゲンタンパク質を切断し、分解消失させることによってアレルゲンを抑制していることを意味します。
対象有害物質 | 種類 | 実証機関 | 時 期 |
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真菌 | クラドスポリウム | (財) 石川県予防医学協会 | 2000年 9月 |
ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) | 2002年 2月 | ||
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) | 2004年11月 | ||
ペニシリアム、アスペルギルス | ドイツ リューベック医科大学(増殖抑制効果) | 2002年 2月 | |
アスペルギルス、ペニシリアム(2種)、 スタキボトリス、アルテルナリア、ムーコル |
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) | 2004年11月 | |
細菌 | 大腸菌 | (財) 石川県予防医学協会 | 2000年 9月 |
大腸菌、白色ブドウ球菌、カンジダ菌 | 中 国 上海市予防医学研究院 | 2001年10月 | |
バチルス菌 | (財) 北里環境科学センター | 2002年 9月 | |
CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) | 2004年11月 | ||
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) | (財) 北里環境科学センター | 2002年 9月 | |
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 | 2004年 2月 | ||
シュードモナス、エンテロコッカス、 スタフィロコッカス |
ドイツ リューベック医科大学 | 2002年 2月 | |
エンテロコッカス、スタフィロコッカス、サルキナ、マイクロコッカス | CT&T(ドイツ アーヘン応用科学大学 アートマン教授) | 2004年11月 | |
アレルゲン | ダニ、花粉 | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 | 2003年 9月 |
浮遊アレルゲン | カナダ喘息協会 | 2004年 4月 | |
ウイルス | H1N1型ヒトインフルエンザウイルス | (財) 北里環境科学センター | 2002年 9月 |
韓 国 ソウル大学 | 2003年 9月 | ||
中 国 上海市予防医学研究院 | 2003年12月 | ||
(社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 | 2004年 2月 | ||
H5N1型トリインフルエンザウイルス | イギリス レトロスクリーン・バイロロジー社 | 2005年 5月 | |
コクサッキーウイルス | (財) 北里環境科学センター | 2002年 9月 | |
ポリオウイルス | (財) 北里環境科学センター | 2002年 9月 | |
コロナウイルス | (社) 北里研究所 北里研究所メディカルセンター病院 | 2004年 7月 |
細菌、ウイルス、アレルゲンに対するプラズマクラスターイオンの作用メカニズムは、プラスとマイナスのイオンがそれらを取り囲み、イオンから発生したOHラジカルがそれぞれの表面のタンパク質を分解することで構造を破壊していることが明らかになりました。
実際の生活環境下におけるプラズマクラスターイオンによる浮遊ダニアレルゲンの抑制効果を調べるため、25人の住居を対象とし、イオンありなしの住居に分けて4週間実験を行い、浮遊ハウスダストを採取しました。 採取したハウスダストからダニアレルゲン汚染の指標物質(Der f1)濃度を測定した結果、試験前の初期アレルゲン量からの増加率を比較するとイオンなしの生活空間ではダニアレルゲンが増加し、イオンありの場合は増加しないことを確認しました(図参照)。
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