「採用したい建材・設備メーカーランキング2014」太陽光発電関連機器部門で9年連続1位

意匠性と発電量を同時に高めるルーフィット設計と屋根全面システム

この高性能モジュールの発電性能を最大限発揮できるよう、屋根面への設置容量を最適化する技術が「ルーフィット設計」だ。

「当社CADセンターには、過去の設置事例71万件以上の図面がデータベース化されていて、屋根面積をムダなく活用し、より多く発電できる最適なパネルレイアウトを、素早く提案することができます。大小モジュールとコーナーモジュール3種類を組み合わせ、切妻も寄棟でも最小70mm刻みでのサイズ対応が可能です。しかも屋根に合わせ美しく設置できる意匠性の高さも特長です」と稲田氏。

「日経アーキテクチュア」では、デザインの「寸法や色などが豊富」のポイントが、前回3,3から今回4.9と伸びており、製品性能だけでなく、シャープのデザイン対応力もプロに高く評価されていることが窺える。

ルーフィット設計

デザイン性では「屋根全面システム」の開発も、同社独自の取り組みとして注目したい。屋根とモジュールを一体化して、設置容量を最大化できる画期的なシステムだ。新築戸建住宅の片流れ屋根への設置を基本に開発された。

「専用下地鋼板を使い、屋根葺き材のように屋根全面にモジュールを敷き詰める『屋根全面システム』は、小さな屋根でもほぼ100%発電面として活用できる。屋根のサイズに合わせたモジュール・架台と下地鋼板が、それぞれ新築の現場に納められ、工務店はキット感覚で施工することができます。屋根葺き材が不要で1m²当たりの荷重は20キロ未満、通常工法のスレート瓦よりも軽量です」(稲田氏)。

屋根全面システム
設計手順の比較

耐久性への自信が20年の無償保証を実現。「BLACKSOLARプレミアム保証」

次に「安心の耐久性」について、シャープの取り組みをうかがおう。「当社は50年以上、太陽電池の開発を手がけてきた実績があり、設置後30年以上経過した製品もあります。これらのパネルを回収し、30年の経年変化の状況を実際に調べることができるのです。この分析データを参照し、国際規格を上回る独自の機能評価試験規格(QTSS:Quality Test Standard of Sharp)を設けて、各種の耐久性試験を行ってきました。この規格が、環境先進国ドイツ最大の第三者認定機関VDEにも認定され、適合証を取得しています(BLACKSOLAR NQ210ADで取得)」(稲田氏)。

こうした国際的評価と、堺工場の一貫生産による高品質確保を背景に、業界トップクラスの「安心の保証」も、さらに進化している。「シャープでは、太陽電池には住宅建材に匹敵する、長期にわたる品質信頼性が求められると考えています。そこで『安心の保証』として、架台から電力モニタまでシステム構成機器をまるごと10年保証(無償)する体制を実現し、その後、有償のまるごと15年保証もスタートさせました。『BLACKSOLAR』のモジュールではこの15年保証に加え、プレミアム保証として『出力』『モジュール機器』の両方については、無償で20年の保証に延長しています」。

設置後は「Webモニタリングサービス」で、インターネットを通じて発電状況や不具合などを見守る安心を無償で提供。全国89カ所のサービス拠点を備え、緊急時には即時に対応できる体制も整っている。「Webモニタリングサービス」は6万件を超えるユーザーが利活用している。

太陽電池+クラウド蓄電池+クラウドHEMSが実現するエネルギーソリューション

シャープの太陽光発電は、屋根に搭載して発電で終わりではない。太陽電池+クラウド蓄電池+クラウドHEMSによる1歩先行く暮らしの新提案もスタートしている。クラウド蓄電池には9.6kWhの大容量タイプも追加された。

「シャープでは太陽電池の性能向上だけでなく、人の暮らしを電気でいかに豊かにするかも大切な視点だと考えています。それを実現するのがシャープのエネルギーソリューション。太陽電池とクラウド蓄電池をクラウドHEMSでコントロールし、太陽光発電と夜間の割安の電力を有効利用しながら、その家庭の電力消費を最適化するシステムです。このシステムはクラウドサーバーと接続して、天候や気象警報などの条件に合わせ、蓄電池の充放電を自動的に制御し、最適なエネルギー消費を実現してくれます」(稲田氏)。

このクラウド蓄電池システムには、家族構成、生活スタイル、季節、曜日に応じた消費電力量の推移、太陽光発電量、蓄電池の利用パターンなどを学習し、環境変化に合わせた自動制御で電力コストをミニマイズする機能もある。「2016年の電力自由化で、新電力会社からは、携帯電話のように、さまざまな料金プランが提示されるはずです。では、自分の生活スタイルにはどの電力プランが最適なのか。それを判断するのは難しいと思いますが、クラウド蓄電池システムには学習機能と同時に、その家に適した料金プランを提案する機能も搭載されています。早期にこのシステムを導入することで、電力自由化時代のエネルギーマネジメントに備えることができます」(稲田氏)。

このほかシャープでは、クラウド蓄電池システムを始めとするエネルギー機器とDC家電の一体型システムや、太陽光発電と同時に太陽熱を集熱し、給湯などに活用する「PV-T(サーマル)システム」など、エネルギーソリューションのさまざまな開発が始まっている。1959年に太陽電池開発に着手した先駆者シャープ。次代を見据えた開拓者としての、新たな取り組みに注目したい。

クラウド蓄電池システム
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