SHARP デジタルサイネージ

Fashionsnap.com 2015年8月4日掲載記事より転載

動画全盛時代に効果的な売場づくりとは?
デジタルサイネージ×ファッションの可能性《前編》

SUIT SELECT 渋谷公園通りの店内 Photo by: Fashionsnap.com

動画全盛時代といわれる中、ファッション分野でも様々なブランドでイメージムービーが制作されています。過去に主流だったスチール写真ではなく、動画でコンセプトを訴えようとしており、売場づくりもそれに応じたものに変化。最新の売場づくりを取り入れている海外メゾンでは、「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」や「Ermenegildo Zegna(エルメネジルド ゼニア)」などが大型のデジタルサイネージを使った店舗演出を実施。海外リゾート地の大型商業施設やコレクション会場でもこうした空間演出が見られ、デジタルサイネージはファッションとの親和性が高いようです。今後デジタルサイネージはどのように可能性を広げていくのか、前編・後編の2本立てで紹介します。

かつては、ラグジュアリーブランドや大規模チェーン店に使われているイメージが強かったデジタルサイネージですが、最近の傾向として目立つのは、リーズナブルなブランドイメージをもつ店舗での導入。株式会社コナカが展開する「SUIT SELECT(スーツセレクト)」もその一つで、現在では全国147の全店鋪に設置されています。

佐藤可士和氏が監修する「SUIT SELECT」の場合

2001年の4月に誕生したツープライス業態。当初は「スーツセレクト21」という屋号で店舗を全国に展開していたが、2007年にクリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が総合監修として加わり、同年10月には、福岡・天神のフタタ店舗をリニューアルして「SUIT SELECT」1号店を出店。その後店舗数は、国内では北海道から沖縄まで147店舗、海外ではタイに7店舗とシンガポールに4店舗の合計11店舗に拡大(2015年7月現在)。「ウォークインクローゼット」を店舗コンセプトに、駅前立地で若いビジネスマンに向け、これまでの紳士服とは違うイメージで買い物を楽しんでもらうことをメンズ・ウィメンズ共に提案している。

「サイネージの動画コンテンツ制作費に販促予算を最も割いています」と語るのは、スーツセレクト事業本部執行役員の安斎秀孝副本部長。コンテンツ制作は第一線で活躍するクリエイター達が手がけており、総合監修に佐藤可士和氏、カメラマンに秦淳二氏、スタイリストに山本康一郎氏、ヘアにTAKU氏、メイクアップにはUDA氏を起用し、モデルのオーディションにも半年間をかけているそうです。サイネージに映るコンテンツにここまで販促を集中させる理由や、サイネージに注力することになったきっかけについて、詳しく伺いました。

店舗づくりはサイネージが中心

「動画コンテンツに使った素材をシーズンカタログやローカル店舗のCM、雑誌の純広告に使うようにしています。サイネージを導入する当初はコストがかかるものだと思っていましたが、動画コンテンツにメインビジュアルを集中させたので、我々のブランドが小規模から成長していく過程ではたいへん効果的な方法でした。キャンペーン時には、店頭のPOPにサイネージの素材を使っています。映っている映像とリアルな店頭を意識してマッチさせていくことがポイントですね」

導入のきっかけは2012年2月の海外進出

「海外の1号店がタイ・バンコクの大型ショッピングセンターにオープンするというタイミングで弊社のトップから『今まで日本でやっていなかったことを海外で取り組んでみたい』という意向があり、色々と検討した結果、トップの判断で、ムービーやデジタルサイネージによる訴求にトライしていくことになりました。スーツを着る文化がないタイにおいて、従来のコミュニケーション手法では訴えるのが難しいところを、デジタルサイネージを使って動画で伝えることによって得られた効果を経営のトップが直接感じたことが、(日本国内の全店舗でも稼働させるという)大きな決断に繋がったのではないかと思います」

単なる店内ポスターの代わりではない、新しい販促スタイル。独自の店舗づくりを展開するSUIT SELECTのサイネージ活用法

「店内は、中央に高さ約80センチの『ファンステージ』と呼ばれるコーディネート台を置き、各台の両側にサイズ別に4つくらいの什器が並んでいます。歩き回らなくても自分のサイズのところでワンストップでコーディネートが完結できるよう、ロジカルな売り場構成を意識し、ファッションのコーディネートを主体にした売り場を展開したことが成功に繋がったと思っております。そのコーディネート台の近くでは、サイネージを稼働させ、商品を着用したモデルの動画を流しています。コーディネートのイメージを紹介するなど、接客販売に役立てています。ただモデルさんがウォーキングしているだけの映像では、商品の魅力は伝わりません。そのため商品の特徴をズームアップしたり、4分割画面で見せるなど、商品の魅力やその商品ならではの着こなしや着崩しを伝えられるように制作しています」
「お客様が店内で動画を見て、こういった商品を着てみたいというご要望や、この商品ありますか?というお問い合わせも頂いており、実際に着たイメージを伝えやすいのがサイネージの良いところだと思っています」(渋谷公園通り店 佐藤准一店長)

売り場づくりの考え方とマッチ

「店内の内装の図面を描く時も、全体とのバランスを考えながら、客導線から一番目立つところにサイネージを置くと決めています。標準的な店鋪では、通行客に見えるように入口付近に外向けに1台と店内に1台設置。佐藤可士和さんの売り場づくりの考え方とうまく合致し、サイネージは導入しやすかったです」

サイネージの導入でブランド訴求力が高まり、リピーター獲得に

「これまでの店舗では、色による誘い込みなどを行っていましたが、デジタルサイネージでムービーを流したことで、お客様の注意を引く効果もあり、ターゲット層へのブランド訴求力が強くなったと感じています。いくつかの要素があるとは思いますが、(導入後から)若年層のリピーターが非常に増えました。お客様に”伝える”という目的においてデジタルサイネージはすごく貢献していますね」

作成したムービーコンテンツはUSBメモリに落とし込み、各店舗に配布

「コンテンツは各店舗に配布し、記録したUSBメモリをディスプレイ裏側の再生装置に差し込み、映像を流しています。国内全147店鋪で、コンテンツの足並みを揃えることができますし、ローコストかつ、手間をかけずに運用することができます」

意図した売場づくりのため、デジタルサイネージに求めるもの

SUIT SELECTの店舗で採用されているサイネージの多くはシャープ製。多くのメーカーがある中でなぜ?

「なんと言っても、明るく観やすいことが決め手です。素材がよく見え、伝わりやすいところも大きなポイントになっています。導入にあたっては、サイネージに放映するコンテンツの見え方に重きを置いていたので、(シャープ製のサイネージは)最も魅力的でした。そのような我々のニーズを汲み取っていただき、スピーディーに提案してもらいました。また、ディスプレイの出っ張りは店頭での違和感につながるので、薄さも重要なポイントになりました」

デジタルサイネージ×ファッションの現在

「SUIT SELECT」では多数の店舗でシャープ製のサイネージを導入していますが、シャープのビジネスソリューション事業推進本部ビジネスソリューション営業部によると、「店舗、特にアパレルのように売場の統制が図られ、ブランドイメージを訴求するショップはすべてが有効市場になる」といいます。

富士キメラ総研「デジタルサイネージ市場総調査2013」に基づき、シャープにて作成

実際シャープのショールームには、アパレル店舗や商業施設への設置を考えた什器にデジタルサイネージを施したものが展示されています。SUIT SELECTの店舗に備え付けられていた縦横型のシンプルなサイネージも。

シャープ製のデジタルサイネージ向けディスプレイは、一般のテレビよりも輝度が高く自然光にも強いので、店舗の入口付近に外向けに設置するにも適しているといいます。設置にあたっては、赤外線や紫外線による悪影響がありますが、それを最小化するノウハウもあるそうです。

ブランドで制作した動画をどのように商品訴求や空間演出に繋げるか、売場づくりに携わる人にとっては悩みどころではありますが、デジタルサイネージを効果的に使用するのもプロモーションの幅を広げる有力な方法かもしれません。シャープによると「規模や演出、運営方法は個々のお客様のご要望に合わせた相談も受け付けています。ぜひ気軽にお問い合わせ下さい」とのことです。

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